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ゲゲゲのSS 時系列 契約話 紅茶を入れて頂戴 おやじ誘拐 おやじと翠星石 翠星石と鬼太郎 蒼星石のミーディアム 騒がしい日常 ねこ娘とねずみ男 くんくん探偵 5期の始まりと予告 ジュンが怪しい商品をクーリングオフするきっかけ ねこ娘と真紅 ドイツから新たなドールがやって来た! 翠星石と蒼星石の目玉おやじ観察実験 蒼星石の恋!? アリスゲームの真実 乳酸菌飲料 映画伝言 公共広告のCM出演 歌う者に合う曲を選ぶ!妖怪カラオケ 真紅と猫 安部総理、引退の理由 アマビエと雛苺 ミーディアムである証 蛇骨婆と水銀燈 続・翠星石の家出 誰が不幸? 出会ってから・・・ 蒼星石、鬼太郎グッズを・・・ ノヅチの巻 ライバル 癖がある目玉おやじ ラジオネタ 原作復活ネタ 「球春到来!」 真紅の長い一日 スレを保守
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音源の聴き方 ダウンロードしたいリンクをクリックすると、新しいウィンドウが開きます。 キーワード「meioke」を入力 画像に出てくる3つの英数字を入力 [~をダウンロードします。]をクリック 画面右下に出現した<ダウンロードする | click here to start download. >をクリックするとダウンロードできます。 Prokofiev Symphony #5 James Levine / CSO Borodin Prince Igor - Polovtsian Dances Simon Rattle / BPO Léo Delibes Coppélia Jean-Baptiste Mari / Paris Opera Orchstra←全曲 Léo Delibes Coppélia Herbert von Karajan / Berliner Philharmoniker←カラヤンによる抜粋
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第一回戦【海水浴場】SSその2 蛭神サソリは憂鬱に悩まされていた。 サソリは挌闘家であった。やはり、挌闘家である以上自らの実力を知らしめたかった。しかし 、その目標にはいくつもの壁が立ちふさがっていた。 まず、彼が魔人であること。この時点でこの世の90%の挌闘家とは立ち会えぬ、立ち会っても意 味のないことが明白になってしまっている。 次に、彼が蛭神家の魔人であること。サキュバスやインキュバスの家系、淫魔人である蛭神家 というだけで多くの魔人が彼と立ち会おうとしなくなる。つまり、寝技をかけられた時どんな淫 術が炸裂するか、想像したくもない。しかも、筋肉隆々の男から。 さいごに、彼の戦闘スタイルに問題があった。彼の挌闘家としての正装は全裸。そして、その スタイルは【五身一体】。この五身とは、右腕・右脚・左手・左足。そして、男性器。なんというこ とだろうか、男性器に常軌を逸した強度を持たせる魔人能力蛇神鞭を中心に添えたスタイル。 もはや、このような男と戦いたいという猛者はほとんどおらず、やはり同じように表舞台から 追放されし外道挌闘家と仕合をする虚しき日々を蛭神サソリは送っていた。 だが、彼の人生は一辺する。なんと魔人同士を集めた武術大会に招かれたのだ。尤も、これは 蛭神家代表の他の選手が核ミサイル投下のゴタゴタで行方不明となり、他に候補を探したときに タイマンで戦車を撃破したサソリが仕方なく選ばれたのだが、サソリにとってはどうでもいいこ とだった。蛭神家がサソリの出場決定と同時に大会から手を引いたとしても。 自らの力を思う存分に発揮し、それを世間に認めてもらえるという機会にサソリの股間は図ら ずも興奮し、文字道理赤熱していた、はずだった。 「小男、チンピラ、女子・・・か」 そこにいたのは戦車さえも破壊可能な彼にとって思わず溜息が出てしまうような面子であった 。無論、彼らも魔人であるのだから見た目で判断すべきでないことぐらい、頭は愚鈍と一族から 笑われてきた彼でも重々承知である。が、その魔人がどのようなタイプであるかは容姿を見れば だいたい分かる。つまり、筋肉が発達していれば鍛錬のすえに超人的膂力を得た魔人であったり 、そのような肉体を得ることが能力の一部であったりするし、そのような魔人は概して肉体派で ある。逆に細いシルエットをもつならば、肉体に頼らず能力に特化した魔人が多い。もちろん、 細指一本で大男の全力の正拳突きを悠々受け止めるような能力の発現をするものもいるが。 とにかく、サソリは肉と肉が激しくぶつかり合う戦いを望んでいたのに、恐らく目の前にいる 魔人達は能力特化なのだ。全くなんと星の巡り合わせが悪いことか。 「が、手を抜くわけにもいかぬ。どれ一つ振って見るか」 その丸太にも例えられる四肢、いや五肢がゆっくりと動きだした。 「なんなんだ、あれは」 遠藤終赤は戸惑っていた。いきなり放り出された海水浴場。そして、明らかに堅気でない男二 人組はいいとしよう。このような職種の人間と逢うのは職業柄珍しくない。だが、もう一人の男 、あの一糸纏わぬ。あれはなんだ。遠藤終赤が男性器を見るのは初めてでない。小さい頃は父親 や叔父と一緒にお風呂に入ったこともあったし、叔父の蔵書である古今東西の探偵小説また探偵 教科書には色事が、挿絵付きで、描かれていることも少なからずあった。ので、彼女は男のソレ に関する知識は同年代の女子よりもあると自負しているし、実際に親族以外のソレをみても、マ ァ、上手く処理できるだろうと思っていた。しかし、あれはなんだ。 コーラのペットボトル、いや、田舎に突っ立て居る黒ずんだ木製電柱を思いださせるそれが、 こちらに向かってくるではないか。さすがにこれには歴戦の探偵、遠藤終赤も困惑せざるおえな い。 ("電柱"から見える手足の太さ!奴(やっこ)は格闘系魔人と見える。さらに排泄器の機能とする排 尿や射精を行わないところを見ると、アレ自身を武器にするというのか!) と、思考をしたはいいが、もはや"電柱"は目の前で振りかぶられようとしていた。 「ッッッ!!」 魔人の脚力を持ってして、100mはあった間合いを数秒でつめたサソリ、そして自分の一物をも って目の前の女子を叩き潰そうとした刹那、その女がこちらに向かって指を向けるのをサソリは 見逃さなかった。回避!瞬間、桜色の閃光が左目をかすめる! (光学能力か!) 指の先や手のひらからエネルギーを放出する魔人能力者は珍しくなかったし、立ち会ったこと もあった。しかし、彼らはもっと遠距離からエネルギーを打ち込んできた。今、彼は己の男性器 を振りかぶろうとしたために、己のソレで視界が塞がれ、体勢的にも回避は困難。もし、目の前 の彼女がこれを狙ってやったのなら、なかなかどうしてやり手ではないか! 「くく、少しはァ、楽しめそうだなぁ!」 サソリは回避体勢から一気に男性器を砂場に叩きつける。目くらましのためだ。 が、次の瞬間には深さ2mほどの大穴が地面で口を開いていた! 「何・・・だと・・・!?」 まさか女の戦略かと思い、顔をそちらに向けると女もぽかんとしている。となると、あのチン ピラと小男の組が! 「うおおおおおおおおおおおおあおおおおおおお!!!」 いや、仮にそうでももはや彼らは墜ちるしかなかったのである。物理的にも肉体的も。なぜな ら、落とし穴には夜魔口砂男の眠り砂がたっぷり詰まっているし、まあ、起きていても上から窒 息させる勢いで眠り砂がかけられるからだ。 「いやァ、相手が真っ先にこっちに来なくて良かったですねぇ」 「まったくやな」 サソリが遠藤に向かった直後、夜魔口赤帽は大量の真紅の液体を砂男に呑ませたのだ。その摂 取量は効果が切れると同時に全身の疲労で即死するレベルであったが、この大会の特殊性を考慮 した一種の作戦であった。そうして、ありえないほど強化された砂男は地面に潜り、即席の落と し穴、もちろん自分の能力でつくった砂を混ぜたものを、をつくったわけだ。もし相手達がこち らを先に狙っても、砂男が砂の結界を作ってしまえばこちらは籠城戦に持ち込める。そうなれば 、やはり残ったもの同士は潰しあうだろう。結局のところ、海水浴場が舞台になった時点で自分 達が圧倒的有利な立場にいるのである。 「げほっ」 早くも強化の反動が現れだした砂男が血を吐き出した。赤帽はそれを心配そうに見守る。 「すまんなぁ、もしかしたら、あと数回死んでもらうかもしれん」 「かまいやしませんよ、それでおやっさんが助かるならァ・・・げほっ」 砂男の全身が震えている。皮膚がひび割れ血が噴出している。あの治療担当魔人の力は参加す る前に十分見せてもらったが、それでも不安になる。治療が、ではなくてこの舎弟の心が果たし て決勝まで持つのかと。いや持ってもらわなければならない。 砂男が静かに砂浜に横たわる。もはや、息を、いや心臓自体が破れたのかも知れない。 「おやっさん、待っててくだせぇ」 赤帽は一人静かにつぶやいた。自分以外の、全てが眠った砂浜に、その声は波にさらわれたか のように、消えていった。 『夜魔口赤帽&夜魔口砂男』WIN! このページのトップに戻る|トップページに戻る
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第一回戦【洋館】SSその3 由一らが戦う古びた洋館は、想像以上に広大だ。 面積の単位は平方キロメートルで表すのではないかと思われるほど。 個々の部屋や廊下、中庭なども尋常ではない広さであり、遠距離武器を持つ由一が有利だ。 だからと言って、由一は油断していたわけでも、驕っていたわけでもない。 ただ圧倒的に、そして致命的なまでに人生経験が足りなかった。喧嘩慣れしている程度の小学生が、本気で自分を殺しにかかって来る者の恐ろしさなど、微塵も知っているわけがないのだ。 その点で、対戦相手である相川ユキオと倉敷椋鳥の二人に、由一は既に遅れをとっていた。 「あ、あ……い、痛、ぐ、ぎぎぎ、う……」 出血している左腕の傷を抑えながら、由一は悲痛なうめき声をあげる。 「ちくしょう、くそ、くそ、くそ、こ、ろ、殺してやる」 由一はようやく理解する。試合とは名ばかりの殺しあいであると。そして同時に、由一の中に、対戦相手への明確な殺意が芽生えた。 時は遡り、試合開始直後。由一は厨房から調達した包丁三本ほどを携えて館の中を歩いていた。 無論、対戦相手に居場所が察知されないように、できるだけ足音を消している。 「くそー、試合前に下見に来ればよかったかな……」 付け焼刃程度でも、土地勘の有無は大きなアドバンテージになる。だが、由一にはそれがない。 もっとも、行き止まりであったとしても、彼の能力ならばさして弊害にはならないのだが。 「にしても……なんだってこんなことになってんだ?」 彼が見回ったいくつかの部屋や廊下にはガラスが散乱していた。というより、電球や電灯といった照明器具が破壊されていたのだ。 今現在、昼のまっただ中であり、屋敷の中が薄暗いとはいえ多少の光は差し込んでいる。全くの暗闇で何も見えない、ということはない。 しかし、すべての部屋や廊下にガラスが散乱しているわけではないということは、何者かが意図的に破壊したということであり、そしてこんなことをする理由があるのは、対戦相手ぐらいのものだ。 明かりがあっては不都合な能力であれば、それも説明はつく。 どちらにせよ、用心に越したことはない。 由一は慎重に歩を進める。廊下の曲がり角で一旦足を止め、曲がり角の先、そして自分が通ってきた道に誰も居ないことを確認する。 再び廊下を歩き始める由一。念のためもう一度、と後ろを振り向く。 その視線の先には、槍を持って迫る相川ユキオの姿があった。 相川ユキオの姿が視認されたことは、彼にとって大きな誤算だったかもしれない。 由一が通りすぎようとした曲がり角で、自身の「壁」を使ってユキオは姿を隠していた。影の中、影で隠れていた。 そのために彼は屋敷中の灯りを破壊しようとしていた。ノートン卿の「そもそもここは電気が通っているのか?」という発言によって、途中で止めた。 城塞としての壁であれば、こちらの姿は見えない。無色透明な城塞など、存在しないからだ。 由一が通り過ぎた後、「壁」を解除して「槍」を生成した。心臓を貫けば即死、致命傷を与えるだけでも十分だった。 しかし、偶然にも由一が気づいてしまったせいで、槍は左腕を貫いた程度に収まり、致命傷は与えられなかった。 ユキオが追撃を加えようとする前に、由一はユキオから距離をとった。 そして、能力で作った銃を連射しながら逃げてゆく。 弾除けとしての壁を生成しながら、ノートン卿はユキオを叱咤する。 『失敗したではないか』 「ノートン卿が許可出したんですよ。俺は頭が良くないから判断を仰いだのに」 『自分の無能を責任転嫁するな』 「じゃあノートン卿も考えてくださいよ。どうします?」 『ここは撤退しろ。射程勝負では分が悪い。無理に深追いをする必要はない』 了解、と一言添えてその場からユキオは立ち去った。 由一は自らの呼吸を整えるため、そして落ち着くため深呼吸をする。 神経が切れていないためか、左腕を動かすぶんに問題はない。 そして、彼は『銃』を連射するべきでなかったと後悔する。あれは射出速度が速ければ音も大きくなる。そして、音は自らの居場所を教えているようなものだ。 取り乱していたとはいえ、これは失策だった。追って来なかったのは不幸中の幸いだが、もう一人の対戦相手である倉敷椋鳥に居場所を悟られた可能性がある。 無論、それが考え過ぎであればいいのだが。 「考えても埒が明かないな。とりあえず、階を移動するか……」 由一は自らの身体にむけて『銃』を使う。スーっと上に移動し、天井をすり抜ける。すり抜けた先に誰もいないことを確認すると、そのまま上階へと這い出る。どうやら小部屋に出たらしい。 服の一部を裂き左腕に強く巻きつける。申し訳程度の止血処理だが、やらないよりはマシである。 由一は考える。残り一人がどこにいるかわからない。そんな状況で動くほうがいいのか。それとも待機するほうがいいのか。動けばまた先程のように待ち伏せされる。出て行かなければ勝てない。 迷っている最中、それを差し止めるかのように壁が破壊された。 現れたのは大量のモヒカンザコ。モヒカンザコ軍団は雄叫びをあげた。 「ヒャッハー! 食料と水をよこせー!」 倉敷椋鳥は三階の書斎に籠城している。主な理由として「ゲートに入れる物の運搬が楽」「容易に複数個調達できる」という点から、本が大量にある書斎を選択したのだ。 ゲートに本を入れるたびに、モヒカンザコが出てくるので自分の精神状態が心配になったが、ともかく召喚物には困らない。 書斎には彼自身想定していなかった利点があった。書斎は本の日焼けを防ぐため、窓が設置されていない。それはすなわち、「基本的に扉以外からは侵入できない」ということだ。 無論、本は有限だが、部屋いっぱいに敷き詰められた本が尽きる頃には、召喚したモヒカンザコが対戦相手を倒しているだろう。相手がどれほど強かろうが、人海戦術には敵わない。 勝つために手段は選ばない。確実に勝ちを拾いに行く。椋鳥はそう決めている。 モヒカンザコが由一のいる部屋に来たのは偶然だ。ただ虱潰しに荒らしまわっているだけであり、たまたまそこに由一がいたというだけの話だ。 とはいえ、屋敷を荒らしまわっているため、由一がどこに逃げようと、いずれは来ることになっていただろう。 由一はすぐに立ち上がり、『銃』を使う。文字通り厚みがないペラペラのモヒカンザコは、倉敷椋鳥の能力で作られたものだ。 冷静に、しかし確実に素早くモヒカンザコたちを狙撃した。彼の射撃技術からすれば、このモヒカンザコ軍団はただのでかい的だ。 由一は普段狙撃した場合、相手を地面方向に沈めるようにしているが、あいにく床下は二階である。すぐには殺せない。 だから逆に、上空へと移動させる。モヒカンザコの質量は元の物体に依存するため、かなり早く移動させることができた。 「くそっ、何だこいつら!? どんどん増えやがる……!」 モヒカンザコは次から次へと現れる。何十発も『銃』を連射しているのだ。その音のせいで居場所がバレたのだろう。このままでは、どれだけ対応しても埒が明かない。 そこで、由一は自らに向けて『銃』を使う。ゆっくりとした速度で上昇していく。 「あばよ!」 由一は捨て台詞を吐く。モヒカンザコの一人に足を掴まれそうになったが、エアガンを使って目を撃ちぬいて撃退した。 一方、相川ユキオは倉敷椋鳥の居場所を探すため、屋敷の外に出ていた。 「部屋や廊下が壁で区切られた館内よりも、辺りを見通せる外を先に探した方が良い」というノートン卿の提案により、主庭を探索した後、中庭を探索している。 しかし、一向に倉敷椋鳥は見つからない。 「これだけ探してもいないなら、外にはいないんじゃないんですかね」 『どうやらそのようだな』 諦めて館の中に戻ろうとするユキオ。しかし、上空からの風切り音を聞き逃さない。何かが落ちてくるという事を察して、頭部を腕で防御しつつ後ずさる。 地面に落下したそれは、小説の文庫本だった。 「なんだあれ……?」 『気をつけろ、罠かもしれんぞ』 恐る恐る手にとったが、何の変哲もない小説だった。中身を見ても、やはりただの小説だった。 「なんで小説が空から落ちてきたんだ?」 『それを今考えている』 直後、一冊、二冊と本が落ちてくる。それらもやはり、ただの変哲のない本だ。 ノートン卿も相川ユキオも、仮説を打ち立てた。 「本が落ちてくるってことは、どこかから本が無くなってる、ってことですよね、たぶん」 『おそらく、この本をもとに倉敷椋鳥が何かを召喚したのだろう。それで、何らかの理由で能力が解除されたというわけだ』 「空から降ってきた理由はわかりませんが……とりあえず、本の有りそうなところといえば……」 『書斎か』 「ですね」 『確か三階にあるはずだ。わかるか?』 「バカにしないでください。すぐに行ってやりますよ」 ユキオは館の壁際に寄り、能力で『壁』を作った。高く延びていく壁に乗って、三階の窓と同じ高さまで到達する。 そして『槍』をつくり、窓を割って侵入した。 部屋の中はものの見事に荒らされており、二、三人のモヒカンザコが徘徊していた。 襲いかかってきたモヒカンザコを槍で一掃する。 打ちどころが悪かったらしく、モヒカンザコは失神し本に戻った。 「どうやら今度の予想は当たってたみたいですね」 『そうだな。ではさっさと書斎に行け。場所はわかるな』 「だいたい把握してます」 ユキオは部屋の外に出る。だが、廊下はモヒカンザコの軍団がウヨウヨしている。いくらモヒカンザコといえど、この数を相手にしていてはきりがない。 「いったい何体いやがるんだ、こりゃ」 『馬を使え。いちいち相手にしていてはお前とて勝てないだろう』 「そうなるだろうと思ってましたよ……」 影から『馬』を召喚すると、それに跨りモヒカンザコの中を駆け抜ける。 文字通り「蹴散らす」のも悪くないなと思いつつ、書斎を目指して征く。 三階の上は階がなく、由一は屋根に座っていた。 モヒカンザコもこれなら追ってこれないだろうと思いつつ、屋根の上をウロウロしていると、二、三冊の本が落下してきた。 その本を手にとって見るも、どうやら代わり映えしない普通の本だった。どういうことだ、と思考を巡らす。 だが、次から次へと本が落ちてくる。それも上空からだ。 頭部を守りつつ、由一はひとつの結論に達した。 「倉敷は本を使って召喚していた、ということか!」 それに気付いた由一は、書斎探しを始める。彼は屋敷の間取りを知らないため、一つ一つの部屋を確認するしか方法がないのだ。 だからといって、モヒカンザコのいる三階に戻る訳にはいかない。 由一は自分を『銃』で撃った後、屋敷に潜り部屋の中を覗いて確認する、というやり方で確認していった。 虱潰しで確認していくしか無いが、これが一番安全だ、と判断した。 「ヒャッハー! 敵だー!」 書斎前の廊下で、モヒカンザコが叫ぶ。それを聞いた倉敷椋鳥は、敵の接近を知った。 どうやら、書斎に籠城していることがバレたらしい。 「居場所を突き止められたか。だが、この程度で勝った気になるのはまだ早いぞ」 入り口からわずかだけ外を見る。そこには、モヒカンザコ軍団とそれを蹴散らす相川ユキオの姿があった。 そして、同時に両者の目が合う。 「見つけた!」 ユキオは馬から飛び降りると、モヒカンザコを踏み台に次から次へと飛び移り、倉敷椋鳥へと近寄った。 そのまま一気に槍を突き刺―――す前に、一発の銃声。 「あえて姿を見せた、ということに気づかなかったみたいだな」 倉敷椋鳥の右手には、拳銃が握られていた。 移動中の由一にも、その銃声は聞こえていた。 すぐ近く、否、すぐ下から聞こえてきたということは、何者かがこの下で戦っている、ということだ。 覗き見てみると、拳銃を持った倉敷椋鳥と、倒れた相川ユキオ、そして相川ユキオを袋叩きにしているモヒカンザコがいた。 モヒカンザコに袋叩きにされている相川ユキオは、腹に銃弾を食らっている。ヘタしたら致命傷になりかねない。 モヒカンザコ軍団を払いのけるユキオ。このモヒカンザコは本と同じ質量なので、本を払いのけるのと同レベルの力で簡単に払いのけられる。 だが、モヒカンザコは続々と湧いてくる。倉敷椋鳥が再び召喚を始めたのだ。 満身創痍の状態で、湧いてくるモヒカンザコ。そのうち体力が果ててしまうかもしれない。 だが、書斎の中から椋鳥のうめき声が聞こえると、しばらくしてモヒカンザコがすべて本に戻った。 由一はこれをチャンスだと思った。 ここで倉敷椋鳥を始末出来れば、確実に勝てる、と。そこで、由一は賭けに出た。 倉敷椋鳥が書斎に入っていったところまでは由一も確認している。何のためか? 無論、再び召喚を行うためだ。 では、どうすれば確実に倒せるか。倉敷椋鳥は常に動いている。 だが、あるときだけ止まっている。それは、召喚するときだ。 モヒカンザコを召喚する瞬間を狙って、彼は『銃』で撃った包丁を真下に突き落とした。 そして、椋鳥の脳天に包丁が刺さったことを確認し、追撃として、背中を包丁で刺したのだ。 そして、倉敷椋鳥は死亡した。 その後、由一は倉敷椋鳥から拳銃を奪い、満身創痍のユキオに対し降伏を促した。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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第一回戦【雪山】SSその3 夜。真っ白である。眼下の絶景も山も空も四葉のオムツも。 オムツ? まだおしっこ少女(おねしょうじょ)なのだろうか? まさか。 200Kを下回る世界で下半身を露出し体内の体温安定剤(おしっこ)を放出する必要はない。 五重の防寒具を着たまま股に力を入れたり抜いたりして四葉がぶるぶるっと震えると暖かい小便が下腹部に広がりほのかな母体回帰願望を思い起させる。じゅわじゅわ滴る前に手早く取り替えて外に出す頃には既に凍りつく。 まさに極寒の雪山そのものだ。全体像はGoogleMAPで確認したが無意味すぎた。佐倉光素を信用すれば雪山の(戦闘範囲内の)中腹な筈だ。 パキパキに凍ったオムツを洞窟の隅にほうって入口に近づく。雪のカーテンの合間合間にちらつく「黒点」に向かって念じる。 「モア」「モア」「モア」 何も反応しないことを見て四葉はホッと溜息をつく。口腔に侵入する空気が痛い。 ――寒いな。この自然め。私を殺す気か。 四葉は指を振り念じる。 「モア」 パッと空中に生み出された白い塊は濃霧を生み出しながら落下する。 目線を落として塊を観察する。どうやらこの極寒の地で蒸発しているようだ。 「すごく冷たいものかや?」 雪に対して「炎」が得られるわけではない。 自然が「雪」という「寒さ」を武器にしているのならより強いより冷たい武器を得るだけだ。 極寒の雪山でさえ瞬時に昇華するような個体――固形窒素が召喚された。 「これをぶつければダメージ与えられるか?」 という考えは刹那で忘れた。 相手も防寒しているだろうし窒素ならば持って投げれないだろう。 四葉が理解している「すごく冷たいもの」は液体窒素(-196℃)。かつてTVで見た「薔薇がバラバラに砕けるシーン」が想起された。全く触れる気になれない。 何かでつまんで投げられれば……四葉は思い出した。 殺すべき敵の一人・聖槍院九鈴(せいそういんくりん)の奇天烈な武器を。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖槍院は雪山頂点から高速移動で駆ける――滑る。 巨大トングの下刃をソリ代わりにしている。見事な体捌きだ(しかし48のトングで1024つのトングを自在に同時に操れる究極体トンゲリスト(トング・ジツ・マスター)と比べれば未熟だ)。 目指すは小さな洞穴。 人が一人隠れられる程度の――人影がちらついてみえたそこ。 上刃は屋根がわりにして滑走する。雪は当たらないが風がひどく冷たいだろう。 しかし加速する聖槍院は平静である。なぜか? 彼女の魔人能力〈タフグリップ〉はつまんだものを決して離さない。 それは「掴んだものが失われない」と同義である。挟まれた空気も。聖槍院も。 故に麓(ふもと)の空気を捉えた巨大トングの刃間は絶対に暖かいのだ。 ぐんぐんと洞窟が近づく。速度は加速の一途。トング滑走術は音速を超えうる。 マッハ0.8で目前に洞窟が。音と並走する聖槍院。 轟音におびき寄せられ洞窟から人が。 止まる気も死ぬ気もさらさらない。 ――死ね。 聖槍院は自身の体ごと洞窟にぶつけた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 発生して近づく音を赤羽ハルは雪崩かと思った。 だが洞窟を破壊し尽くして眼前に現れたのは巨大な銀(トング)。 トングの殻から聖槍院が出現。ダメージ0。真っ黒なトングを構えている。 トングの刃部に両手で添える「鰐の構え」だ。 赤羽はひしゃげた巨大トングと合わせて空飛ぶ円盤(UFO)を思い起こした。 数々の修羅場をくぐり抜けた赤羽でさえ反応が1秒ほど停止。 「死ね」 言葉が打出るのと前後してトングのバネを8倍活用した打撃を放つ。 殺人鬼には1秒あれば十分である。みぞおちと頸にめり込む拳。 呻く赤羽。さらにトングで挟み込み両肩を固定(タフグリップ)。 聖槍院の奇襲&不意打ちは見事命中した。 聖槍院は即殺のつもりだったがどうしてなかなかしぶとい。 ――しぶとさの理由は赤羽ハルが「日本銀行拳」の使い手だったことだ。 赤羽は腹部と頸部に受けた衝撃をストップ高としてこらえた。 株価と肉体のダメージは全身を覆う「紙幣帷子」に流す。 暴落した「呑気(情)」が上場廃止し「殺意(激おこ)」が上向きになる。 この市場混乱により約1億個の細胞(パンピー)が負債を被ったが脳細胞(トレーダー)は「殺意(激おこ)」を大量購入している――。 飛び蹴りし反動で距離を取ろうとする聖槍院。 赤羽は胸をクロスし聖槍院の蹴りを防御する。 そのかたちで肩のトングを掴む。力で離そうとするなら無駄だったろう。 赤羽は真っ黒のトングを能力〈ミダス最後配当〉により換金した。 ――硬貨に換金し即撃ち込む。 そしてトング〈カラス〉が換金された。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そう遠くない北北西から轟音を聞く。ラピュタの動力室が爆発した音だ。 四葉は雪崩の危険を察知し外へ出る。雪は降っているが風は弱まっている。 雪崩が起こっていた。異様にきらめく色付きの雪崩が上から起きていた。 「怖! 死ぬ!」 長期戦を見込んでいた四葉にはあまりにも急展開すぎた。 四葉は反射的に自らの能力〈モア〉を発動する。 雪崩に対してならより強い雪崩が生まれる。四葉が飲み込まれることはない。彼女に対して安全なのが〈モア〉の能力の一部である。 ――より強い雪崩が生まれるはず。私は安全だからすぐ洞窟に逃げなければ。 だが彼女は誤認していた。 色付きの雪崩は「雪崩」ではなく「換金」あるいは「発行」である。 より強い発行。 四葉は建物の中にいた。 召喚したものは「日本銀行」。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 聖槍院の持っていたトング〈カラス〉。 素材は隕石であり色も黒っぽいのでダークパワーが宿ってそうで強い。 闇トング道者・トング太郎Jrが有り金はたいてでも〈カラス〉を欲しがっている。彼の総資産は約1兆円。 聖槍院九鈴は1兆円の中に埋もれて死んだ。トング太郎Jrが殺したと言える。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 赤羽もまた自らが換金した硬貨の雪崩に飲み込まれている。 だが彼は硬貨(500)を次々と紙幣(10000)に換金した。 呼吸の確保には成功したが数(10000t)には勝てない。 流され飲み込まれ圧死する――しかし幸運にも流された地は日本銀行。 体中を覆っていた圧力の塊が朝露のように消えていくのを感じる。 動物めいた半回転で立ち上がる。 雪山の中に建物があるはずがない。魔人同士の戦いであるから常識は通用しない。 そもそもの自分が――と防寒具の内にあるはずの紙幣帷子が消えている。 赤羽は振り返り確認する。硬貨の雪崩は日本銀行に入った瞬間から消滅している。 原因は分からないが直感的に「生き残った対価」と考えた。ラッキー。 雪山に日本銀行とは。それにしても異常な空間だ。空調はバッチシ。暑すぎる。 防寒具を脱ぐとジャケットがゴトッと音を立てる。 「おっと。これは必要だな」 ジャケットの中からM10(ミリタリー&ポリス)を拾う。 「知ってるヤツ対策のつもりだったんだがなァ……。まさか使えないなんて。それも銀行の中なのに。俺が消費者だからか? なァ?」 奥に向かい問いかけた。返事はない。 無人の受付を乗り越えふだん入らない領域へ。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 四葉が日本銀行を召喚した直後。 彼女はあらわれた日本銀行に驚いた(当然だ)。 何をすべきか――。どう勝つべきか――。 真っ先に思い浮かんだのは「対魔人用の金庫の中に閉じ込める」と「買収」。 前者に引っかかる馬鹿であればいいが実現性は低いと判断。 後者は真剣に考えた。二秒ほど。役員の一人から聞いた情報によると莫大な借金を負わされたらしい。金「だけ」であればOKだろう。が不安が残る。 どちらにしよう――二者択一で考える狭さは子供らしい。 結局「金庫閉じ込め」に。すると部屋に入った直後にロックする必要がある。 コントロール室的な所を探す前に濡れた足跡を見て衣類をすべて脱ぐ。 四葉の幼児体型そのままでも寒くはない。むしろ暑いくらいだ。 すっぱだかになって床にゴロゴロして水を吸わせたあと部屋札を見ながら小走り。 二階左にある「制御室」を発見し入る。 いかにもスイッチが「押してください」と言わんばかりだ。 どこの金庫を開閉するか――などという複雑な操作は四葉にはわからなかった。 だが勝利する方法をひらめいた。 ――完全に近い。 にやっと笑いながら銀行内の空調をあげる。室内とはいえはだかはやや寒い。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 廊下は左右に分かれておりゴーギャンの「無題」がある。 今度は紙幣で換金してみる。3200円。額縁もこみこみだ。 「偽物か」ふと気付く。「銀行の中でなら金もてるのか?」少し考える。「ふーむ」 なぜ硬貨の雪崩が銀行の中へ入らなかったのか……。 と考えて閃く。 ――入金したってこと? 物理的すぎる。赤羽は苦笑いしつつ足元の服を拾う。濡れており小さすぎる。 お人形の服みたいだ。値段は82000円。高い。4000円。4200円。1480円。7980円。 「最近の小学生はリッチだなあ。ブルセラに売ったらの値段か?」 などと思いながらがら右へ。 「6000億刷れないもんかね」 などと呟きながらドアを一つひとつ開けて見回る。 窓の外は雪だ。雪山であることをしばし忘れていた。 半分ほど見回って面倒になり地下へ向う。 地下は分厚くて扉数が少ない。 どれにも手を触れず六感覚(シックスのセンス)だけを研ぎ澄ませる。音はない。 「印刷っぽいのはなさそうだの。銀行でやるんじゃあないんだ?」 疑問形で聞いても返答はない。わずかに空調が部屋を温める音がするだけだ。 「ここじゃあないのか?」 と呟いた瞬間――日本銀行は消滅した。 パッと。 夢幻(ゆめまぼろし)のごとく。パッ。 もとの雪山。赤羽は長袖一枚だ。防寒具は雪の下に。 「しまった。凍死(そっち)が狙いか」 方角を思い浮かべて駆ける。服はあったが人の影をしていた。 「人の服きてんじゃねえよ。サイズ合ってねーぜ」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 武器を簡単に生成するなら逆もまたしかり。 四葉は逃げ出すつもりであったが服がだぼだぼで動きにくい。 それに靴がない。自分の靴を履くつもりであったが廊下にないのは誤算だった。 ――ここで殺すか? 防寒の点ではこちらに分がある。時間で勝負だ。 選択(にげ)の余地はない。もう赤羽の影が見えたのだ。 「モア」 四葉の手の中に一万円札が現れた。 ――やはりお金関係のヤツか。 両掌を赤羽に向ける。一万円札がヒラっと舞い落ちる。 「モアモアモア……」 硬直時間ゼロ秒で一万円札を生産し続ける。 理論的には0秒で無限枚作ることも可能だが10枚/s程度に抑える。 赤羽はゆったり歩く。四葉の行為を見て一言。 「最近の子はブルジョワだね。そもそもさあジャケット高くなかった?」 「確かにねー」 「お兄さんがおこづかいをあげよう」 指弾で500円玉が連射される。日本銀行拳は恐ろしい。時速約500km。 だが金はどこまで言っても金である。 四葉は10000枚/sで一万円札の壁を作る。 500円が10000円に勝てるはずもなく弾かれる。 「最近の子はブルジョワだねー」 「確かにねー」 「お兄さんがお年玉をあげよう」 「そんな季節じゃなあないよ。雪は降ってるけどさ」 赤羽は演技めいて屈み一万円札をひろう。 その赤羽の頭に、四葉が、P228(M11)をぶっ放す。 赤羽がかがんだ瞬間――〈モア〉が札→銃の瞬間に四葉は撃鉄を起こしていた(コッキング)。 三点でバンバンバン。一発目で見事脳天を捉え赤羽は大恐慌に陥った。 ――さて。 と息をつく。するとどこからか声が聞こえる。 「パンパカパーン!(喜びの表現その1) 高島平(タカシマダイラ)四葉(ヨツバ)様(さま)の勝利が確定しました(おめでとうございます)!」 「いえーい」 無邪気あるいは邪気に満ちガッツポーズをする四葉。 ストン。とだぶだぶのズボンがずれ落ちた。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
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